前回の記事では、NotebookLMを使って社内FAQのような仕組みを作ろうとすると、
・人によって答えが少しずつ違う
・「それ、どの資料を元に言ってる?」となりやすい
といった違和感が出てくる理由を整理しました。
NotebookLMはとても優秀ですが、あくまで「個人が資料を読み解くためのAI」です。
では、社内で同じ資料を元に、ある程度「前提が揃った答え」を返してくれるAIはないのでしょうか。
そのとき、次の選択肢として見えてくるのが Gemini です。
この記事では、Geminiの中でも「Gem(カスタムGem)」に注目しながら、
・社内FAQ用途で何ができて
・どこまで期待してよいか
を少し現場寄りの目線で整理していきます。
なぜ「前提を揃えたAI」を考える必要があるのか
社内FAQを想定すると、よくこんな要望が出てきます。
・同じ資料を参照したい
・誰が質問しても、だいたい同じ返答をしてほしい
・資料の解釈でブレてほしくない
・業務判断の“入口”として安心して使いたい
NotebookLMは、「人それぞれの理解を深める」ことには向いています。
ただ、
・ノートが人ごとに分かれる
・取り込んだ資料の状態も人によって違う
という前提があるため、「答えを揃える用途」には少し向きません。
ここで必要になるのが、「人ごとに考えを深めるAI」ではなく「前提や立場を揃えた状態で答えるAI」 です。

Gemini(Gem)とは何か : NotebookLMとの違い
Gem(カスタムGem)は「役割を固定したGemini」
Gemとは、簡単に言うと、役割や前提を先に決めたうえで、社内で共有して使うこともできるGemini です。
・このAIは何担当なのか
・どんな資料を前提にするのか
・どんなトーンで答えるのか
こうした条件を、最初にまとめて与えておくことができます。
その結果、「社内FAQ担当」「このマニュアルを前提に説明する担当」といった立場が決まったAIを、複数人で共通して使えるようになります。

NotebookLMとGemの違いを一言で言うと
NotebookLMは各自のノート、Gemは共通ルールを理解している案内役です。
NotebookLMでは、人ごとにノートが分かれ、取り込んだ資料の状態も人によって異なります。人によって考え方が変わってよい、という前提のツールです。
一方、Gemは、役割や前提を与えた「担当者」として使います。考え方の土台をできるだけ揃えた状態で答えるため、社内FAQ用途では「誰が聞いても、前提がズレにくい」という点が大きく効いてきます。
Gemでは、あらかじめ
・参照させる資料
・回答時の前提条件
・立場や役割
を1つのGemにまとめて設定します。
そのGemを複数人で使えば、AさんもBさんもCさんも、同じGem=同じ資料セット・同じ前提に対して質問することになります。
ここまでの違いを、簡単に表にまとめると次のようになります。
| 観点 | NotebookLM | Gem |
|---|---|---|
| 主な用途 | 個人の理解を深める | 前提を揃えた回答 |
| 資料の扱い | 人ごとに異なる | 指定した資料を前提にする |
| 回答のブレ | あってよい | できるだけ抑える |
| 向いている場面 | 調査・学習 | 社内FAQ・業務判断の入口 |
| 役割の固定 | なし | あり |
| 共有利用 | 想定外 | 条件次第で可能 |
社内資料を使うなら、気になる「データの扱い」
Gemを業務で使う話になると、必ず出てくるのが「それ、外に漏れないの?」という話です。
個人向けGeminiと、Workspace環境の違い
個人向けのGeminiは、業務利用を前提とした管理や統制がありません。
一方、Google Workspace 環境で使う Gemini(Gem含む)は、
・利用者が組織として管理される
・業務利用を想定した契約体系
・管理者による制御が可能
といった、会社利用を前提とした枠組みの中にあります。
資料はAIの学習に使われるのか?
ここは、プランや契約条件によって扱いが異なります。
一般論としては、Workspace向けのGeminiでは「組織のデータを不特定多数向けの学習には使わない」という前提が示されています。
ただし、
・何をどこまで渡すのか
・社内ルール的にOKか
は、必ず人が判断する必要があります。Gemは「何でも投げていい箱」ではありません。
Gemで社内FAQっぽく使うための考え方
Gemは「FAQ集」ではなく「FAQ担当者」
まず大事なのは、Gemは FAQの答え置き場 ではありません。
Gemは、
・資料を元に説明する
・判断が必要なら注意を促す
・分からない場合は「分からない」と言う
といった振る舞いをする FAQ担当者そのもの に近い存在です。
プロンプトより大事なのは「前提の文章」
細かい指示を書く前に、
・このAIは何のためのものか
・どの資料を正とするのか
・判断していい範囲/ダメな範囲
を、文章で整理しておくことが重要です。
ここが曖昧だと、どんなに工夫しても回答はブレます。
「全部知っているAI」にしない
社内FAQ用途では、あえて 参照範囲を狭くする ほうがうまくいきます。
・このマニュアル
・この規定
・このFAQ原文
など、「ここまでしか見ない」と決めたほうが、答えは安定します。
それでも答えは“揺れる”と理解しておく
Gemは、「同じ資料」「同じ前提」「同じ役割」を共有しますが、完全に同一の答えを返す装置ではありません。
たとえば、
・質問の切り口が違う
・詳しさ指定が違う
・想定読者(新人向け/管理者向け)が違う
と、表現や強調点は変わります。
ただし、その違いは、
・根拠にする資料
・判断の軸
がブレているわけではなく、「説明の仕方が違う」レベルに収まります。
社内FAQ用途としては、ここが実用上、とても大きなポイントだと思います。
まとめ : NotebookLMとGeminiは競合ではない
NotebookLMとGemini(Gem)は、どちらが優れているか、という関係ではありません。向いている役割が違うだけです。
・Gem:前提や立場を決めたうえで使え、必要に応じて共有もできるAI
社内FAQにAIを使う場合、いきなりツールを選ぶよりも、次の順番で考えておくと、後から困る場面がぐっと減ります。
2. 次に「AIにどこまで任せるか」を決める
3. その上で目的に合ったツールを選ぶ
逆に、資料や前提が曖昧なまま導入すると、AIは混乱を増やす存在にもなりかねません。
社内FAQにAIを使うかどうかを分けるのは、ツールの性能ではなく、設計と考え方です。
「自社の場合はどう考えればいい?」
そんな段階でも大丈夫です。
AI導入ありきではなく、業務や資料の整理から一緒に考えるご相談もお受けしています。
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