はじめに
「毎日の売上データは記録しているけれど、正直、眺めているだけで活用方法までは考えられていない…」
「データ分析って、なんだか難しそう。専門の担当者もいないし…」
お店や会社を運営する中で、このように感じたことはありませんか?
日々の業務で蓄積されていく売上データは、実は会社の「宝の山」かもしれません。しかし、その宝の山から価値あるヒントを掘り出すには、統計やデータ分析といった専門的な知識や時間のかかる作業が必要だと思われがちです。
もし、普段使っている売上表で、まるで賢いアシスタントに話しかけるように質問するだけで、利益アップに繋がるヒントや答えを教えてくれるとしたら、どうでしょうか?
この記事ではAIを使って、皆様がお持ちの売上データをお手軽に分析する実践例をご紹介します。これまで「ただの数字や文字の羅列」に見えていたデータが、会社の運営を後押しする心強い味方に変わる様子を、ぜひご覧ください。
目次
AIと始める売上データ分析 実践!
ここからは、実際にAIを使って売上データを分析していきます。
「AI」と聞くと少し身構えてしまうかもしれませんが、ご安心ください。何か特別なソフトを起動したりする必要はありません。
分析の準備:AIに渡す「いつもの」売上データ
まず、分析のもとになる売上データを用意します。
普段、Excelなどで売上管理をされている方も多いかと思います。
今回は実践例として、架空のスーパー「スーパーいわデジ」の以下のような売上表を、皆さんが普段お使いのExcelのような「Googleスプレッドシート」というツールで開き、分析していきます。

このような簡単な売上表があれば準備は完了です。
※画像では売上データが20行ほど表示されていますが、実際には3000行あります。
AIへの「質問」で課題を洗い出す
従来は、このような売上表から何かを分析しようとすると、関数を組んだり、グラフを作ったりと、少し手間のかかる作業が必要でした。
しかし、Googleスプレッドシートに搭載されたAI機能を使えばもうその必要はなく、画面の横に分析ツール(Gemini)を呼び出して、見ているデータについて直接質問することができます。
※スプレッドシートでGeminiを使用できるGoogle Workspaceの有料プラン(2025年8月現在、Business Standardプランなどで利用可能)への契約が必要です。利用可能なプランの詳細はGoogleの公式サイトをご確認いただくか、お問い合わせください。

画面右上のGeminiアイコンをクリックすることで呼び出すことができます。

それでは早速、この画面でAIにいくつか質問をしてみましょう!
質問1:「夏と冬でアイスの売上の差はどのぐらいありますか」
季節によって売上が大きく変動しそうな商品として、今回は「アイスクリーム」に注目してみます。
AIに、夏と冬の売上を比較するように、以下のように指示(プロンプト)を出してみました。

いかがでしょうか。スプレッドシートから離れることなく、「夏は冬に比べて、アイスが4.8倍ほど売れている」という答えがすぐに手に入りました。
これなら、他の商品や期間(夏の期間を6~9月としたらどうか?等)についても、気になったことを次々と分析できますね。
質問2:「廃棄の数が多く、仕入れの数を抑えた方が良いと考えられる商品を教えてください」
次に、お店の利益に直結する「廃棄ロス」について質問してみましょう。
廃棄が多い商品は、お客様の需要以上に仕入れてしまっている可能性があります。AIに、どの商品の仕入れを見直すべきか、アドバイスを求めてみます。

このように廃棄が多い順で集計してくれたので、データに基づいた具体的な改善アクションのヒントになりそうです。
今回は例として2種類の質問をしてみましたが、もちろん、お店や会社によって知りたい情報は様々ですので、目的に応じて自由に質問することができます。「土曜日によく売れる商品は?」「特定の商品と一緒に買われることが多い商品は?」など、問いかけ一つで様々な角度から運営を見つめ直すことができます。
「この売上表から分析できる情報はどのようなものがあるか、箇条書きで教えてください」のように質問することで、見落としていた事実を発見することもあるかもしれません。
まとめ
この記事では、Googleスプレッドシートに搭載されたAI機能を使い、「いつもの売上表」から運営に役立つヒントを手軽に見つけ出す実践例をご紹介しました。
- 季節ごとの売上比較
- 廃棄ロスが多い商品の特定
これらは、AIができることのほんのごく一部です。データ分析は特別な道具で行うものではなく、表計算ソフトを開けばいつでもできる日常業務に変わります。
「売上データはあるけれど、いったい何から手をつけたらいいのか。スプレッドシートも使ったことがないし。具体的な進め方を知りたい」
「売上表ではなく、顧客リストやアンケート結果がたくさんあるけど、活用できるかな?」
そんな風に不安や疑問をお持ちになった方もいらっしゃるかもしれません。
どのようなデータに価値が眠っているか、そしてそれをどう引き出すか、その道筋を見つけ出すお手伝いができればと思います。
本記事が、データ活用への第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
AIの活用方法や、その他業務のデジタル化についてご相談やご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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