在庫管理の新しいカタチ
Googleだけでリアルタイムに在庫管理

【連載2】フォームで入出庫記録、スプレッドシートで自動集計!Googleだけでできる在庫管理の第一歩

在庫管理の第一歩は「記録」から始めよう

まず第一に、在庫管理で最も重要なのは、正確な記録です。

というのも、どんなに高機能なシステムを導入しても、記録されていなければ現状を正しく把握できません。そこで本記事では、Google フォームとスプレッドシートを活用して、誰でも簡単に「入出庫を記録できる仕組み」を具体的にご紹介します。

Googleフォームで、手軽に&正確に記録

従来の在庫記録には次のような課題がありました。

  • 「在庫ノート」に手書き:書き忘れ・読み間違い・転記ミスが頻発
  • Excelで記録:ファイルを探す・開くのが手間
  • 最新ファイルがどれか分からない:重複・混乱の原因に

こうした課題を解決するのが、「Googleフォーム」です。
Googleフォームとは、誰でも無料で使えるネット上の入力フォームであり、アンケートや申し込みなどを、スマホでもパソコンでも簡単に作成・利用できるツールです。

  1. まず、紙に書いていたアンケートや申し込み用紙が、ネットで作れます。
  2. 次に、完成したフォームはスマホやパソコンから誰でも入力できます。
  3. 最後に、回答は自動でグラフや表にまとめられます。

こうした一連の流れが、すべて無料で簡単に行えるのが、Googleフォームの魅力です。

この機能を利用して、たとえば、以下のようなフォームを作成しておくと、入出庫の情報をスマホやタブレットから簡単に入力できます。

項目入力形式
日付カレンダー選択
商品名プルダウン選択
数量記述式
入庫 or 出庫ラジオボタン
担当者プルダウン選択
備考任意記述

このように設定すると、紙を書いて転記する手間がまったく不要になりますし、入力漏れや読み間違いも大幅に減少します。

クリックすると、入力フォームのイメージがご覧いただけます。
Tips:フォーム作成のコツ

  • 数量欄に回答検証を入れると、入力ミスを未然に防げます(整数のみなど)

  • 商品名はプルダウン形式、担当者はプルダウン形式やラジオボタン形式にすると、入力の統一性と速度が向上します。

入力データはスプレッドシートに自動保存

Googleフォームとスプレッドシートを連携させることで、入力データがそのままスプレッドシートに保存される仕組みになります。手作業は不要で、リアルタイムにデータが集まるのが大きなメリットです。

フォームとスプレッドシートを連携する方法

以下のような簡単操作だけで、自動的に連携が完了します。

フォーム画面上部の「回答」タブを開き、緑色のスプレッドシートアイコンをクリックします。

次に、「回答の送信先を選択」ウィンドウで、スプレッドシートを選択します。
「新しいスプレッドシートを作成」を選べば即時連携、「既存のスプレッドシートを選択」なら所定のファイルに保存先を指定できます。

作成または選択後、スプレッドシートが自動で開き、フォームと紐づけられます。

連携後に確認したいポイント

  • スプレッドシートに「タイムスタンプ」列が自動追加されるので、回答日時が自動的に記録されます
  • フォームを送信するたびに、リアルタイムで行が追加されます

これで「入力→自動保存→集計準備」という流れが一気に整えられます。

2025.06 上記の手順を踏まなくても、フォームと同名のスプレッドシートに自動的にデータが保存されます。

記録されたフォームの入力データ

では、フォームに入力されたデータがどのように記録されるのか、実際に見ていきましょう。フォームに1件登録すると、その内容はリアルタイムでスプレッドシートの新しい行として保存されます。

スプレッドシートで現在庫数を自動集計

さらに、スプレッドシート上で関数を使って集計すれば、入出庫の合計や傾向が一目で把握でき、下記のような一覧表も自動作成できます。

  • 商品ごとの現在庫数
  • 入出庫履歴の一覧
  • 担当者別の操作履歴

こうした集計を実現する代表的な関数が、SUMIFS(複数条件で合計)です。

例えば、今回の入出庫の記録から、商品ごとの現在庫数を集計してみましょう。
スプレッドシートに、新しいシート「自動集計シート」を追加し、「商品」「入庫数合計」「出庫数合計」「在庫数」列を設けます。「在庫数」を知るためには「入庫数合計」と「出庫数合計」を集計しなくてはいけません。

入庫数合計

「入庫数合計」列では、以下のように記述します。

=SUMIFS(
'フォームの回答'!E:E,                      // ←【合計範囲】
'フォームの回答'!D:D, "角型ハンガー A-45",  // ←【条件範囲1】と【条件1】
'フォームの回答'!F:F, "入庫"               // ←【条件範囲2】と【条件2】
)
各パーツの意味
  1. 合計範囲 ('フォームの回答'!E:E)
    ここでは、フォーム回答の E 列すべて(例:数量や数値)が合計対象になります。
  2. 条件範囲1 ('フォームの回答'!D:D) と条件1 (“角形ハンガー A-45”)
    フォーム回答の D 列を見て、「角形ハンガー A-45」に該当する行だけを選びます。
  3. 条件範囲2 ('フォームの回答'!F:F) と条件2 (“入庫”)
    フォーム回答の F 列を見て、「入庫」とマークされた回答だけを選びます。
何を求めているか?
  • フォーム回答の D列が「角形ハンガーA-45」
  • かつ フォーム回答の F列が「入庫」

という 2つの条件を同時に満たすすべての行について、フォーム回答の E列の数値(数量)を足し合わせているわけです。
つまり、「角形ハンガーA-45」の入庫数の合計が分かります。

出庫数合計も同じように関数を使えば、集計できます。

在庫数

「在庫数」列では、以下のように記述します。

=B2-C2    // ← 2行目の場合

上記で集計したB列の数値(入庫数合計)からC列の数値(出庫数合計)を引いています。

このように、記録されたデータと集計関数を組み合わせると、簡単に商品ごとの現在庫数を集計できます。もちろん、フォームでデータを登録するとリアルタイムで集計結果は更新されます。

導入のメリット

  • スマホでその場入力 → 紙での記録や転記作業をゼロに
  • 自動保存・即時更新 → リアルタイムなデータ共有が可能
  • 関数で自動集計 → 在庫状況や履歴が一目で確認可能
  • クラウド運用 → 紙もExcelも不要の完全オンライン環境
  • 無料で実現 → Google Workspace(無料版含む)のみでOK

まとめ

  • まずは「記録」が第一歩
     フォームからの入力だけで情報を簡単に記録できるようにしましょう。
  • 次は「可視化」と「集計」
     スプレッドシートの関数を活用して、データを自動集計します。

これらのステップを踏むことで、手軽に始められるデータ活用の基盤が整います。さらに、将来的には「通知」や「自動化」も視野に Apps Script や各種連携ツールを取り入れることで、業務の効率化が期待できますね。
初心者の方でも安心して進められるよう、次回以降の「実践編」もご期待ください。

次回の予告

次回は、スプレッドシートで以下のような仕組みをつくる方法を詳しく解説します。

  • 入出庫の履歴表をFILTERやピボットテーブルで整理
  • グラフやチャートで見える化し、判断しやすい状態に

記録だけで終わらせず「データを活用する在庫管理」へ、一緒にステップアップしましょう!

ご不明な点、もっと詳しく知りたいことがありましたら、お気軽にお問合せください。

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