最近はChatGPTやGemini、NotebookLMなどを使い、社内マニュアルや議事録、提案書をAIに読み込ませる機会が増えてきました。
「この資料をAIに読ませれば、質問に答えてくれる」
そんな便利な使い方ができるようになっています。
しかし、ここでひとつ知っておきたいことがあります。
それは、
「人間が見ている資料と、AIが見ている資料は必ずしも同じではない」
ということです。
最新のAIは文字を読む能力が非常に高くなりました。
ですが、資料の「構造」や「関係性」の理解では、まだ注意が必要な場面があります。
私たちは資料を見ると、見出し、表、図、矢印、レイアウト などを自然に理解しています。
一方でAIは、まず文字やデータとして情報を受け取ります。
もちろん最近のAIはレイアウトや図解もある程度理解できますが、人間とまったく同じように見ているわけではありません。
その違いが特に表れやすいのが、Word・Excel・PDFといった業務でよく使われる資料です。
今回は、これらの資料を例に、AIが社内資料をどのように読んでいるのかを見てみましょう。
Wordは比較的AIと相性が良い
Wordは文章中心の文書です。
そのため、AIにとっても比較的扱いやすい形式です。例えば、

のような構成は、多くの場合そのまま理解できます。
社内でよくある、
・業務マニュアル
・会議議事録
・社内規定
などはAI活用との相性が良いでしょう。
ただし注意したいのが、テキストボックス、SmartArt、図形の中の文字 です。
人間にはきれいに見えていても、AIが読み取る順番が想定と異なる場合があります。
Excelは「見た目」と「意味」が違うことがある
Excelは人間向けによくできたツールです。
しかし、その見やすさがAIにとっては逆に難しい場合があります。例えば、

人間であれば、
「商品ごとに、月別の数値が整理された表だな」
と自然に理解できます。
そして文脈によっては、「月別の売上実績かもしれない」「月別の出荷数かもしれない」と推測することもできます。
一方でAIは、文字や数値の並びとして認識するため、表の意味や意図を人間と同じように理解できるとは限りません。
「商品 A 100 120 150 B 80 90 100」
というデータの集まりとして扱われることがあります。
最近のAIは表構造もかなり認識できますが、次のようなケースでは精度が下がることがあります。
・セル結合
・色による区別
・複数シートの参照
・入れ子になった表
・コメント
Excelでは「見た目の工夫」が多いほど、人間には分かりやすくなります。
一方でAIは、その工夫の意味を必ずしも理解できるとは限りません。
PDFは文字より「構造」が難しい
以前は、紙の資料をPDF化すると、AIが内容を読み取るのは難しいと言われていました。
しかし現在のAIは、画像として保存されたPDFでも文字を認識できるようになっています。
つまり、単純に「文字が読めるかどうか」という点では、昔より大きく進歩しています。
では何が難しいのでしょうか。
問題になりやすいのは、資料の構造や関係性をどこまで正しく理解できるかという点です。
例えば、次のような資料は注意が必要です。
- 2段組みの文書
人間は左上から順に読み進めますが、AIはレイアウトによって読み順を誤ることがあります。 - 複雑な表
セルの結合や階層構造があると、「どの項目とどの数値が対応しているのか」を誤解する場合があります。 - 組織図やフローチャート
人間は矢印や配置から関係性を理解しますが、AIは文字だけを抜き出してしまうことがあります。 - 注釈や吹き出し
本文との関連が分かりにくくなり、意図しない内容として扱われることがあります。
要するに、現在のAIは文字認識そのものはかなり得意になっています。
一方で、表の行と列の関係、図形同士のつながり、レイアウトの意味 といった構造情報は、まだ注意が必要な領域です。
そのため、PDFをAIに活用させる際は、「文字が読めるか」だけでなく、「AIが資料の構造をどう理解しているか」を確認することが重要になります。
図解やフローチャートは人間とAIの差が出やすい
ここが最も注意したいポイントです。
例えば業務フロー図。人間は矢印を見るだけで、
申請 → 上司承認 → 完了
という流れを理解できます。しかしAIは、
「申請 上司承認 完了」
という文字列として認識しているだけの場合があります。
もちろん最近のAIは図解の理解能力も向上しています。
それでも、
・矢印が交差している
・分岐がある
・複数の担当者が登場する
ような複雑な図では誤解が生じることがあります。

AI活用では「構造化」が重要になっている
最近のAI関連技術で注目されているのが、構造化されたデータをAIに渡す という考え方です。
例えば、
- 見出し
- 表構造
- 項目同士の関係
- 図形の位置情報
などを保持したままAIに渡します。
そうすることで、人間が見ている資料に近い形でAIが理解できるようになります。
図解をAIに理解させるには?
ここまで見てきたように、AIは文字の認識は得意ですが、図解やフローチャートなどの構造を理解するのは簡単ではありません。
では、図解の構造そのものをAIへ伝えるには、どうすればよいのでしょうか。
実際に図解を構造化データへ変換し、ローカルAIで活用した検証記事も公開しています。
AIに資料を渡す前に確認したい3つのポイント
① 人間が見なくても意味が伝わるか
図や色に頼りすぎていないか確認しましょう。
② 表の関係性が分かるか
表を文章で説明できるか確認しましょう。
③ 図解に重要な情報が含まれていないか
業務フローや組織図は、AIが誤解しやすい部分です。
重要な内容は補足説明を加えると安心です。
まとめ
現在のAIは、文字を読む能力だけであれば非常に優秀です。
WordやPDFの文章を読み取り、要約や検索を行うことも得意になっています。
一方で、
- 表の意味
- 図解の関係性
- レイアウトの意図
といった「構造」の理解では、まだ注意が必要な場面があります。
AI活用で大切なのは、「どのAIを使うか」だけではありません。
「AIにどのような形で情報を渡すか」も同じくらい重要です。
社内資料をAIに活用させる場合は、一度「AIからはどう見えているのか」という視点で資料を見直してみると、新しい発見があるかもしれません。
AI活用の成果は、AIそのものだけでなく、どのような形で情報を渡すかによっても大きく変わります。
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